
【滋賀の酒蔵を訪ねる①】[平井商店]/大津
日本一の湖・琵琶湖を中心に平野部が広がり、その周りの山々からの伏流水が今でも多くの酒蔵の仕込み水となっている滋賀。個性豊かな酒蔵と日本酒造りへの思いに注目する。第6回目は、神が導いた水でつくる“すごい”酒、甲賀市水口にある[藤本酒造]をたずねた。
“神が開いた”という名の由縁は明和3(1766)年頃にさかのぼる。酒の出来栄えに悩んだ当時の人々が近くの山村神社の御神託を受けて井戸を掘ったところ、良質な水が湧き出て、良い酒が造れるようになったという。藤本酒造の敷地内にあるその井戸の水は、現在も酒の仕込みに使われている。
「甘みのあるやわらかい味の水です。藤本酒造はこの水を使って、しっかり、そしてどっしりとした日本酒らしい味わいの酒を造り続けてきました」。そう話す代表取締役の藤本信行さんは奈良県出身。この蔵へ来たのは19歳のときだ。
「もともとは叔父と叔母が営んでいた蔵でしたが、後継ぎがいないということで私に話がありまして……。200年以上続いていると聞いて、ここで潰していいのかと悩みました。創業も難しいでしょうけれど、続けていくのはさらに難しいですから」。未成年で、酒を飲んだこともなかった藤本さん。しかも小学校教諭を目指して大学に通っていた。だが、「面白そう」という直感が、酒造りの道へ背中を押した。あらたに農業大学に進学し直し、醸造を学んだ。
例えば、室町時代に生まれた「水酛」という製法で造った酒は、甘酸っぱい乳製飲料のような味がする。通常は米を蒸して造るが、この酒は生米から仕込むのが特徴だ。蒸さずに一週間、25度で置いておいて、乳酸菌を呼び込んだ米を使う。このほか、仕込みに酒を使う貴醸酒も
ある。これは平安時代の製法でアイスワインのような甘みがあるという。
「いよいよ自分で造ることになって、周りにほんまに大丈夫かって言われました。そこで、こんなに変わったのも造れます! とやってきたら、変わった酒ばっかりになりました(笑)」。
大津絵をあしらったラベルなど、「滋賀らしさ」も藤本酒造らしさ。それは米へのこだわりにもうかがえる。ほとんど滋賀県産の米を使用し、今年からは蔵のある水口で、優秀な酒米で知られる山田錦の栽培にも着手した。「蔵の周りは田んぼだらけ。目に見えるところで作った米で酒を仕込みたいと思って、農家の方に栽培をお願いしています。これだけお米の生産が盛んですから、良い酒米ができると思います。うちも田んぼがあるので、ゆくゆくは自分でも米を作りたいと思ってます」。
神に導かれた水と滋賀の米。そして藤本さんのチャレンジ精神。伝統の酒造りにユニークさがプラスされて、ますます“すごい”酒を生み出し続ける酒蔵にこれからも注目したい。
神開 特別純米 大自然神開 720ml 1155円/70年ほど前から造っている純米酒。以前よりはやや味を変えて軽い飲み口に。冷~燗で。通年販売
神開 純米大吟醸 みやの四季 720ml 3300円/職人の繊細な技が活きた純米大吟醸無濾過原酒。芳醇な吟醸香と深い味わいが特徴。冷で。通年販売
神開 長期熟成古酒仕込 うめ酒 500ml 1320円/10年以上熟成した日本酒の古酒を使用。爽やかな酸味、そして青梅の風味と古酒のコクを感じる。冷で。通年販売
神開 純米吟醸 ココメロ&リモーネ 720ml 1540円/イタリアではスイカにレモンをかけて食べるそう。そんな爽やかさをまとったネーミング。冷で。夏期限定
神開 水酛伍号 720ml 1540円/生米で仕込む、室町時代の製法で造った日本酒。乳酸飲料のような甘みと酸味。冷で。通年販売
飴色の艶をまとったあゆの佃煮。程良い甘みに食べ始めると箸が止まらない。小パック500円、大パック1000円。
うろりの佃煮。そのままつまんでも、豆腐やごはんにかけて食べても。地域によっては「ごり」と呼ばれることも。小パック500円、大パック1000円
滋賀県の郷土料理、えび豆佃煮。水深80mから水揚げした身の締まったすじ海老を使用している。小パック500円、大パック1000円。
4つの味が楽しめる口どけほろりん。できるだけ地元の素材をと滋賀県南部の滋賀羽二重餅を使っている。各種330円
取材件数年間600件以上!京都・滋賀を知り尽くした編集部厳選のお取り寄せサイト。
今なら公式LINEお友達登録で500円OFFクーポン発行中!!
毎週金曜日の朝8時に配信!教えたくなる新店情報からイベント情報まで、 知っていると役に立つ京都の記事をお届けしています。 約2万人が登録中。お友達追加はこちら!