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2023.12.1
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東福寺

京都の歴史と美を感じる![東福寺]の見どころガイド

室町時代に復興し、京都五山の第四位の禅寺として栄えた歴史ある寺院[東福寺]。名高い庭や通天橋の紅葉など四季折々に美しい景色が広がり、多くの人が訪れます。今回、その歴史的背景や主な建築物、日常の触れ合いなどの見どころをピックアップして紹介します。

1.[東福寺]の歴史

壮大な伽藍を誇る臨済宗東福寺派の大本山で、鎌倉時代の初期、当時摂政を務めていた九條道家の発願によって建立された。建立に際しては、1236(嘉禎2)年より1255(建長7)年まで、実に19年の歳月を費やして完成した。

栄華を誇っていた最中、1319(元応元)年、1334(建武元)年、1336(延元元)年と相次ぐ火災のために大部分を焼失。しかし、最後の火災があった1336(延元元)年から4ヶ月後には復興が始まり、1346年(貞和3)年、10余年を経て再び偉観を誇った。禅宗寺院の格式を表した「京都五山」(鎌倉時代に北条氏によって導入)に、1334(建武元)年の火災の直前には列せられていたため、再建後には完全な禅宗寺院としての寺観を整えることとなった。

東福寺

本坊庭園・東庭

摂政九條道家は創建にあたって、奈良の最大の寺院である[東大寺]と奈良で最も盛大を極めた[興福寺]から「東」と「福」の字をもらい、[東福寺]とし壮大な伽藍を築いた。周囲には普門院や公明院など25の塔頭(たっちゅう)が建ち、その規模の大きさを物語る。塔頭とは住持、高僧などが寺院の敷地内に建立した子院のことで、東福寺では80以上の塔頭が建ち並んだ時代があったといわれている。

2.見どころ①:禅寺の中で日本最大最古の「三門」

[東福寺]には、「伽藍面(がらんづら)」と称された中世の貴重な禅宗建築が今も残っている。「伽藍」とは寺院の僧侶が集まり修行する清浄な場所のことで、「七堂伽藍(しちどうがらん)」は寺院敷地内にある建物群のことを示すが、[東福寺]は禅宗の寺院としては最大級の七堂伽藍を誇る。その規模は、[東大寺]や[興福寺]に引けを取らない。また、多くの国宝と重要文化財を所蔵し、歴史深い芸術や文化が集積する場所でもある。
1425年(応永32)年、に室町幕府第四代将軍の足利義持が再建された「三門」(国宝)は、大仏様、禅宗様、和様の3つの異なる建築様式を用い、日本の禅寺における三門としては最も古く、最大の規模を誇る。高さ約22mあり、楼上には宝冠釈迦如来像や十六羅漢像などの諸仏が並び、天井には画僧・明兆(兆殿司)らによる極彩色の飛龍や天女などが描かれている。内部は一般公開されていないが、3月14日~3月16日の涅槃会の時期には特別公開が行われ、門に上がることができ、楼上からは京都南部を一望できる。また、京都三大涅槃図(ねはんず)のひとつといわれる「大涅槃図」も鑑賞することができる。三門の前にある思遠池は、夏の蓮を楽しめる。

東福寺

三門(国宝)

3.見どころ②:重森三玲作の禅宗庭園を擁する「本坊」

「方丈」とは、禅宗寺院における僧侶の住居であり、後には相見(応接)の間の役割が強くなった。[東福寺]の「方丈」は、「法堂」と同じく1881(明治14)年の火災で焼失し、1890(明治23)年に再建。その後、1939(昭和14)年、作庭家・重森三玲の手により、広大な「方丈」の東西南北に四庭が配され、“東福寺方丈「八相の庭」”と称された。数ある禅宗の方丈のなかでも、四周に庭園を巡らせたものは、東福寺本坊庭園(方丈)のみであった。鎌倉時代の風格を基調に、現代的なアプローチで再現された禅宗庭園として高く評価され、2014(平成26)年に“国指定名勝”に登録され、「国指定名勝 東福寺本坊庭園」と名付けられた。

東福寺

本坊庭園・北庭

「方丈」を中心に、東西南北に4つの庭園が作られており、釈迦の一生を表す8つの局面になぞらえ「八相の庭」とも呼ばれている。東庭には星座の「北斗七星」、南庭では古代中国の「蓬莱神仙思想」が表現され、西庭、北庭では苔と敷石で「市松模様」が表現されており、枯山水の伝統的な手法を合わせて用いられた、斬新な造りとなっている。拝観の際には、庫裏から入室できる(本坊庭園拝観料/500円)。

本坊庭園・南庭

4.見どころ③:京都屈指の紅葉の名所「通天橋」

境内の渓谷に流れる一筋の川「洗玉澗(せんぎょくかん)」に架かる、「通天橋(つうてんきょう)」、「偃月橋(えんげつきょう)」、「臥雲橋(がうんきょう)」は、「東福寺三名橋」と称される3つの橋。通天橋は、1380(天授6)年に春屋妙葩が架けたとされ、本堂と開山堂を結ぶ長さ約27mの屋根付きの木造橋。

東福寺

紅葉時期の通天橋からの眺めは、“雲海のように広がる紅葉”と称されるほど、折り重なるような紅葉の様子を楽しめる

眼下の渓谷には、円爾弁円(聖一国師)が宋から持ち帰ったと伝わる「トウカエデ」という品種の楓の木々が約2000本植えられ、紅葉シーズンには京都屈指の眺望を誇る。また新緑の季節は生命力に溢れた青もみじも美しい。

東福寺

洗玉澗

5.見どころ④:昭和時代の木造建築として最大と伝わる「法堂」

「本堂」は[東福寺]の主要な建物のひとつで、「法堂(はっとう)」と「仏殿」を兼ねている。創建当時、「法堂」には約15mの釈迦如来像が鎮座していたと伝わるが、1881(明治14)年の戦火で、「法堂」、「仏殿」とともに焼失した。1917(大正6)年から再建工事が行われ、1934(昭和9)年に現在の姿に再建された。総高26m、間口は41m、奥行30mの入母屋造(いりもやづくり)、本瓦葺きの木造建築で、九條道家による京都最大の伽藍造営となっている。

法堂

通常内部は公開されていないので、外から鑑賞すると、ご本尊様とともに「蒼龍図(雲龍図)」の天井画が垣間見れる。これは、日本画家・堂本印象の渾身の作で、16日間で描き上げたと伝わる。また、毎年3月の「涅槃会」には明兆作の大涅槃図が須弥壇上に掛けられる。

東福寺

「法堂(はっとう)」の位牌(いはい)壇に約2メートルもある巨大な手が祀られている。これは、かつて[東福寺]の仏殿に安置されていた、「新大仏」とあがめられたという、高さ約15メートルの釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)の手。1881(明治14)年の大火災で堂宇が焼失した際、この左手だけが救出され、現在のように祀られることとなった。 ※2023年12月3日までに京都国立博物館特別展「東福寺」で展示中(通常非公開)。

東福寺

6.見どころ⑤:開山・円爾像を安置する「開山堂」と南北朝時代より現存する最大最古の「禅堂」

「方丈」から「通天橋」を渡り、境内のなかで最も高い場所に佇む「開山堂」は、開山である円爾弁円(聖一国師)の尊像(非公開)が安置されている場所。「開山堂」の上部にある「伝衣閣(でんねかく)」には、阿弥陀如来立像、伏見人形のルーツとされている布袋和尚坐像、薬師如来坐像が祀られている。「開山堂」と「普門院」前にある江戸時代中期に作庭された庭園は、枯山水庭園と池泉庭園の様式を合わせ持っているので、一度に異なる趣を楽しめる。

東福寺

開山堂(重要文化財)※建物内は非公開

[東福寺]本堂の西側にある「禅堂」。室町時代、1347(貞和3)年に唐様建築で再建された。南北朝時代より現存する最大最古の「禅堂」として唯一のもので、明治の火災を免れた。往時の隆盛が偲ばれる豪壮な姿で、中世禅宗建築の様式を今に伝える。桁行七間(12.7m)、梁間四間(7.3m)、単層、裳階(もこし)付切妻造で、鎌倉風の花頭窓と格子窓、弓形の木を並べた波欄間や、もやの中央には二重虹梁と大瓶束で構成されている。昔は400名以上の僧が修行を行なったこともあった日本最大にして最古の坐禅道場でもあり、一般参加ができる「日曜坐禅会」が毎週日曜に開催されている。
※日曜坐禅会:6時半~7時半、参加無料(20名以上で申込により坐禅指導有)、臨時休会有

禅堂(重要文化財)※通常非公開

7.見どころ⑥:現存する、日本最大最古の「東司」と禅宗伽藍では最古の「浴室」

「三門」の西側に位置する「東司」と東側に位置する「浴室」も[東福寺]の優れた建築物。
「東司」は、「禅堂」と同じく、明治の火災を免れ、中世禅宗建築の様式を今に伝える。室町時代前期に建立された禅宗式の雪隠(便所)で、現存するもので日本最大最古のものであり、室町時代の東司の唯一の遺構として貴重なもの。1902(明治35)年、重要文化財に指定されている。建物は、桁行七間(35m)、梁間四間(14m)、一重切妻造の建造物で、化粧屋根裏の廂、鏡天井、正背面の切妻飾りは身舎(もや)が二重虹梁大瓶束となっていて、古い禅宗様を現している。「百間便所」「百雪隠(ひゃくせっちん)」「100人便所」などとも称されている。禅宗では用便も修行の一つであったようで、多くの僧が一同に用を足していた。

東司(重要文化財)※通常非公開

「浴室」は、1459年(長禄3)年に建てられ、現存する禅宗伽藍のものとしては最古のもの(重要文化財)。建物の大きさは、桁行三間(5.5m)、梁間四間(7.3m)で、前方を入母屋造、後方を切妻造にした単層本瓦葺の建物である。内部は、東側に2つの蒸し風呂が並び、後方に釜と焚き口があって、今でいうところのサウナ風呂のような様相。当時は、100人単位の僧が修行していたため、沐浴には湯を使用せず、蒸気で体の垢をふやかし擦り落とすことで、水や薪を節約していた。 

浴室(重要文化財)※通常非公開

歴史ある壮大な伽藍、季節の移り変わりとともに異なる趣を見せてくれる庭園は圧巻なので、ぜひ[東福寺]に立ち寄ってみてください。

8.特別拝観・イベント情報

■青紅葉の特別公開
拝観時間/9:00~16:00(受付終了/16:00)
拝観料/通天橋・開山堂 大人600円、小中学生300円
東福寺本坊庭園(方丈)大人500円、小中学生300円
共通拝観券 大人1000円、小中学生500円(秋季を除き設定有)
※拝観時間、通天橋・開山堂の拝観料は季節により変動

■日曜坐禅会
期間/毎週日曜日 ※最新の情報は東福寺公式Instagramアカウントで随時更新
時間/6:30~7:30
料金/無料 ※臨時休会有

■紅葉シーズンの特別拝観
紅葉の見頃/例年11月中旬~下旬
『国宝三門 特別公開』
拝観期間/2023年11月11日(土)〜12月3日(日)
拝観時間/8:30~16:30(最終受付/16:00)
拝観料/大人1000円、子ども300円
『夜間拝観』
拝観期間/2023年11月18日(土)〜12月3日(日)
拝観時間/17:30~19:30(最終受付/19:00)
拝観料/2800円
※完全予約制(申込はこちらから)

9.交通アクセスと拝観情報

●京都駅~東福寺
【JR奈良線】JR「京都駅」ー JR奈良線 ー 約3分 ー JR「東福寺駅」 ー 徒歩10分 ー東福寺
【市バス】88/208系統
京都駅 ー 中央口外D2バス乗り場 ー 約15分 ー バス停「東福寺」ー 徒歩4分 ー 東福寺
●伏見稲荷大社 ~ 東福寺
【徒歩】16分
【JR奈良線】 伏見稲荷大社 ー 徒歩1分 ー JR「稲荷駅」ー 約2分 ー JR「東福寺駅」ー 徒歩8分 ー 東福寺
【京阪線】 伏見稲荷大社 ー 徒歩4分 ー 京阪「伏見稲荷大社駅」ー 約3分 ー 京阪「東福寺駅」ー 徒歩6分 ー 東福寺
【市バス】南5系統
伏見稲荷大社 ー 徒歩5分 ー バス停「稲荷大社前」 ー 約5分 ー バス停「東福寺道」ー 徒歩6分 ー 東福寺
●八坂神社 ~ 東福寺
【京阪線】八坂神社 ー 徒歩11分 ー 京阪「祇園四条駅」ー 約5分 ー 京阪「東福寺駅」ー 徒歩6分 ー東福寺
【市バス】202/207系統

八坂神社 ー 徒歩約3分 ー バス停「祇園」ー 15分 ー バス停「東福寺」ー 徒歩4分 ー 東福寺
●四条河原町 ~ 東福寺
【京阪線】京阪「祇園四条駅」ー 約5分 ー ー 京阪「東福寺駅」ー 徒歩6分 ー東福寺
【市バス】58/207系統
バス停「四条河原町」ー 約20分 ー バス停「東福寺」ー 徒歩4分 ー 東福寺
●嵐山 ~ 東福寺
【JR奈良線】JR「嵯峨嵐山駅」ー 約19分 ー JR「京都駅」ー 約2分 ー JR「東福寺駅」ー 徒歩8分 ー 東福寺
駐車場/禅堂南側または東福寺北駐車場を利用できます。
※紅葉の期間中は駐車場閉鎖、交通規制あり。詳細は公式サイトをチェック

東福寺

  • とうふくじ
  • 京都府京都市東山区本町15丁目778
  • JR「東福寺駅」から徒歩10分
    バス停「東福寺」から徒歩4分
  • Tel.075-561-0087
  • 駐車場有
  • http://www.tofukuji.jp/

  • 【通常拝観】
    拝観時間
    4~10月末/9:00~16:30(最終受付/16:00)
    11~12月第1日曜/8:30~16:30(最終受付/16:00)
    12月第1日曜~3月末/9:00~16:00(最終受付/15:30)
    拝観料
    通天橋・開山堂/大人600円、子ども300円
    東福寺本坊庭園(方丈)/大人500円、子ども300円
    東福寺本坊庭園(方丈)・通天橋・開山堂(共通拝観券)/大人1000円、子ども500円
※予告なく記載されている事項が変更されることがありますので、予めご了承ください。
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