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2022.10.20
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水口の[笑四季酒造]を訪ねてみた/滋賀・びわ湖の酒蔵を訪ねる

日本一の湖・琵琶湖を中心に平野部が広がり、その周りの山々からの伏流水が今でも多くの酒蔵の仕込み水となっている滋賀。個性豊かな酒蔵と日本酒造りへの思いに注目する。第8回目は、日本酒に関わる人みんなが笑える酒造り、甲賀市水口にある[笑四季酒造]をたずねた。

1.自然に逆らわない酒造りに立ち戻る

創業1892年、本年度で130年という節目を迎える滋賀・水口の[笑四季酒造]。その五代目として酒造りに邁進する竹島充修さんは、新潟から滋賀に来て約15年が経過した。酒米はすべて地元滋賀県産の契約栽培米、仕込み水は自社井戸と大津市の岩間山岩深水。醸造アルコールはもちろん、醸造用乳酸や発酵促進剤などは一切使わず、生酛系酒母を採用している。そんな余計なものを削ぎ落とした酒造りを研究する一方で、一回限りのゲリラ出荷のことを総称する「笑四季劇場」など新しい試みにも躊躇なくトライ。今でこそ「次はどんなお酒?」と全国の日本酒マニアが注目する酒造、そして人物だが、滋賀に来た当初はいつ廃業するかわからない状態だったという。

「結婚を機に28歳で滋賀にきて、最初の5年は苦しかったですね。少しずつ上向いたのは、単純にお酒を作って売るだけじゃなく、私たちのフィロソフィーも売ることを継続したから。最初はよそ者が変わったことを始めた、くらいに扱われましたが、10年も経てば認めてくださる方が増え、紹介者が増え、酒販店さん側から声を掛けてもらえるようになりました」。

2.時が経過してもずっと美味しい酒を目指して

日本酒の本質を見つめることは、お米にこだわること。

まずは、滋賀で育てる酒米の品質向上から始めた竹島さん。「滋賀の農家さんは兼業が多く、酒米に対する意識が高いとは言えませんでした。米さえ作れればそれでいいと語る農家さんたちを、口説き落とすところから始めて。もちろん意識が高い専業の方もおられますが、全体の平均値をあげないと滋賀のお酒の価値が上がらない。自分たちで栽培したお米で付加価値をつけたい、という場合もあるけれど、僕らはそうではなくて、滋賀全体のお米が良くなれば、滋賀の日本酒が良くなり、強いてはそこで仕事をする自分たちの環境も良くなると考えています」。
秋に収穫し、冬に仕込んで、出来あがったばかりの日本酒はどれも美味しい。それが時の経過によって変化し、夏を越す辺りから美味しい日本酒とそうでないものの差が大きく出てくる。店頭に並べてから、味の差が開いていく日本酒も多いのだそう。想定外の変化をしないよう、いかに作り手によってコントロールできるかが、美味しいお酒の絶対条件。味の変化に関わるお米の特性に着目するのは、自然なことなのだ。竹島さんも酒造り以外の日は、基本的には田んぼに入り、手で種籾を撒いて、秋が来たら手刈りして脱穀するまでの一連の作業を実践。確保した種籾を翌年の酒米のために農家さんに供給し、品質の安定を進めている。

3.失敗経験を後輩に伝え滋賀の酒を世界レベルに

[笑四季酒造]の日本酒はどれも甘口。思わず笑みがこぼれるようなお酒、キレイな甘さを体現するために、注目しているのが滋賀渡船2号という名の酒米品種だ。「せっかく“滋賀”とついているのに、有名品種の影でこれまで放っておかれた品種なんですよ。タンパク質を極力減らすことができる滋賀渡船2号。その特性を見つめ直したら、すごく品質の良い甘口のお酒になるんじゃないかって、種籾自体に着手した訳です。日本の米は世界の最高クラスなのに、今はいろんな事情で国外に出しづらい状況にあります。でも、いずれ輸出できるタイミングがきた時に、滋賀県が誇る米の魅力を伝えられる体制ができていることが農業、酒蔵が生き残る方法。目先のことだけに捕われることなく、地道に未来を変えていきたいです」。
彼から学びたいという若い職人には、包み隠さず失敗も含めた経験を伝えているという。「うちは輸出に耐えるお酒を造るために乳酸菌を利用した生酛づくりを採用。品質を安定化させる技術を開発できたのは、山ほど失敗したからです。売る自信がない出来になってしまって、税務署に申請して破棄したこと、何度もあります。発見した乳酸菌のメカニズムは広く公表しているので、若い職人たちは失敗を防げるかと。『これはするなよ!』って失敗経験を後輩に伝えることも、自分の使命になってきているなと思います」。
自然界に寄り添うような仕事をし、自分を大きく見せようとしない竹島さんのお酒。乾いた大地に水が染み込んでいくような奥深い味わいで、世界中を笑顔にする日も近そうだ。

CEO 竹島 充修さん/1979年、新潟県出身。東京農業大学醸造学科卒業後、新潟の酒造勤務を経て、2007年に妻の実家である[笑四季酒造]入社。我が道をゆく五代目蔵元として同業者から注目される存在。

4.一度は飲みたい[笑四季酒造]のお酒コレクション

笑四季酒造のSensation (センセーション) 黒ラベル火入

Sensation (センセーション) 黒ラベル火入 720ml 1375円/[笑四季酒造]定番のセンセーションシリーズ。黒ラベルはフレッシュで爽やか、酸がしっかりのタイプ。通年販売。

笑四季酒造のSensation (センセーション) 白ラベル火入

Sensation (センセーション) 白ラベル火入 720ml 1375円/黒と比べ、白ラベルは口当たりがやわらかく、余韻としてキレイな甘みが現れてくる。通年販売。

笑四季酒造のMONSOON

MONSOON (モンスーン) 山田錦 720ml 1980円/仕込み水の一部に清酒を用いる貴醸酒。きれいな甘さとアルコールのボリューム感が魅力。通年販売。

笑四季酒造のMasterpiece

Masterpiece (マスターピース)阿 720ml 2750円/各種コンペへの出展などを目的に、古典的な吟醸をブラッシュアップしたシリーズ。通年販売。

笑四季酒造の赤い糸

赤い糸 720ml 1980円/花酵母ナデシコを使った唯一のラインナップで、吟醸香が華々しく香り、極上の甘みが楽しめる。通年販売。

5.[笑四季酒造]のお酒が買えるところ

■滋賀県
[はしもとや] 0749-62-3170/滋賀県長浜市神照町847
[酒舗まえたに] 0749-22-0575/滋賀県彦根市船町5-10
[ウエルネスサワ] 0749-27-6137/滋賀県彦根市竹ケ鼻町43-2 ビバシティ彦根
[小菅酒店] 0749-22-8257/滋賀県彦根市西今町383-12
[大桝屋] 0748-27-0014/滋賀県東近江市山上町447
[酒のさかえや] 0748-33-3311/滋賀県近江八幡市為心町5
[リカーズサンク] 0748-52-0221/滋賀県蒲生郡日野町内池486-5
[酒酎屋たきもと] 077-581-0322/滋賀県守山市今宿2丁目11-18
[酒のきただ] 077-552-8070/滋賀県栗東市北中小路3
[中野酒店] 077-562-0244/滋賀県草津市大路1丁目6-17
[酒のかなざわ] 077-562-0007/滋賀県草津市追分700-24
[タカツ酒店] 077-563-0650/滋賀県草津市野村1丁目18-2
[マルフク酒店] 0748-86-2116/滋賀県甲賀市甲南町深川2200
[徳地酒店] 0748-76-3392/滋賀県湖南市吉永370
[小川酒店] 077-524-2203/滋賀県大津市浜大津2丁目1-31
[加藤酒店] 077-522-4546/滋賀県大津市木下町13-1
[よしの] 077-537-1901/滋賀県大津市松原町18-19

■京都府
[タキモト] 075-341-9111/京都府京都市下京区升屋町60
[にしむら酒店] 075-781-3049/京都府京都市左京区北白川久保田町3
[西本酒店] 075-221-0452/京都府京都市中京区姉小路通西洞院西入宮木町480
[中畝酒店] 075-641-5556/京都府京都市伏見区深草直違橋6丁目291
[菊屋] 075-981-0553/京都府八幡市男山竹園2-1

笑四季酒造

  • えみしきしゅぞう
  • 滋賀県甲賀市水口町梅ヶ丘1-6
  • 近江鉄道「水口石橋駅」から徒歩9分
    新名神「甲南IC」から車で16分
  • Tel.0748-62-2521
  • 9:00~17:00
  • 土・日曜、祝日休
    ※直売所訪問の際は事前予約がベター
  • 駐車場駐車場無
  • https://www.emishiki.com/


  • PHOTO/高見尊裕、TEXT/立原里穂
※予告なく記載されている事項が変更されることがありますので、予めご了承ください。

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