梅雨の季節の邪気を払う、京の留蓋瓦(とめぶたがわら)

以前、屋根の上の魔除けとして、「鍾馗さん」を紹介した。寺院の多い京の町では、鬼瓦に跳ね返された悪鬼たちが家の中に入ってくるのを防ぐために、家の屋根に乗せた鍾馗さんが活躍してくれている。

今、探し歩いてみると、意外に出会えない

小さくても大きな霊力、京の「鍾馗さん」

小さくても大きな霊力、京の「鍾馗さん」

鬼瓦や町家の鍾馗さんの他にも、町を歩きながらじっくりと屋根の上を眺めてみると、寺社仏閣の屋根の隅に、魔を払ってくれているモノたちの存在があることに気がつく。

これは留蓋瓦(とめぶたがわら)といって、辞書をひくと切妻屋根の棟隅の端で瓦の合するところを覆う瓦だそうだ。雨水の浸入や台風などの大風で先端部分の瓦が飛ばされないよう防ぐ役割があり、装飾としても発展してきたとのこと。

実用と見た目を兼ねた留蓋瓦にはもう一つ、鬼瓦とともに屋根の上で「魔」に睨みを利かす、魔除けのアイテムとしての大切な役割が与えられていた。

なかでもよく見かける留蓋瓦のデザインに、「桃」がある。昔から中国で桃は桃源郷のシンボルであり、病や邪気を払い、不老長寿の力を与えてくれる果物「仙果」として珍重されてきた。日本でも早くから、桃には魔除けの強い霊力が宿っていると信じられてきた。『古事記』で妻を探しに黄泉の国へ行ったイザナギが、醜く変貌した妻のイザナミの姿を見てしまったため、追っ手に追われる。その際に、その地に生えていた桃の実を三つもいで投げて追っ手を退散させ、無事に逃げることができた。また、昔話の『桃太郎』は鬼退治をする主人公が「桃」から生まれている。

最強の厄除け果実と言われる桃

京都で、さまざまな留蓋瓦を発見できるのは、やはり多くの塔頭を抱える寺院の総本山だろう。日頃から気に入っていて、よく散策するお寺に妙心寺がある。境内はいろいろな留蓋瓦に出合えるスポットだ。

 

最も見かけるのは獅子だ。獅子は神社の境内で常に邪気を払ってくれている。菊や蓮の花を象ったものも多く見られた。「重陽の節句」では菊の花に無病息災や長寿を願って菊を観賞したり、菊酒を飲んだりするし、蓮もまた霊力を持つ花である。

愛嬌のある獅子の留蓋瓦

菊の花だと思われる留蓋瓦

右は鬼瓦、その左に蓮の花か?

境内を散策していて最後に出合ったのは、龍だった。龍は水の神様で、神獣であることはよく知られている。建物を火災から守ってくれるという願いも込められているに違いない。

ちょっと珍しい龍に出合えた!

改めて眺めてみると、寺社仏閣は邪気を払い、霊力を持つアイテムに何重にも守られていることがわかる。境内を歩くといつも清々しい気持ちになれるのは、密やかに見守ってくれている彼らの存在も、その一端を担ってくれているのだろう。

蒸し暑く、ジメジメした梅雨の季節は体内に邪気が入り込み、身体を壊しやすい。雨の日のお寺というのも風情があるもの。邪気払いに巡ってみてはいかがだろうか。

 

神域に邪気が入るのを防ぐ魔除け

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