Leaf KYOTO 地元情報誌Leafがお届け!

FOLLOW US

2022.4.20
  • LINE
  • FaceBook
  • twitter
蘇嶐窯_飛鉋を入れたうつわのシリーズ

二つの窯元が融合した唯一無二のうつわ[蘇嶐窯]/京都でうつわをつくる人②

京都でものづくりをする人にスポットを当て、その想いや作品を紹介。今回は夫婦で作陶する涌波蘇嶐さんとまどかさん。異なる窯業地の出身だからこそ生まれたうつわには、家族の物語がありました。

1.歴史ある窯元を背負う夫婦それぞれの思い

爽やかでやさしい色合い、モダンなデザインが印象的なうつわが並ぶここは、蘇嶐窯の工房兼ギャラリー。蘇嶐窯は京焼・清水焼の窯元の四代目涌波蘇嶐さんと、福岡の小石原焼の窯元出身であるまどかさんの夫婦2人で立ち上げたオリジナルブランドだ。

蘇嶐窯_外観

「私の祖父である初代涌波蘇嶐は京焼青磁の第一人者の初代諏訪蘇山氏に弟子入りし、青磁の技術を学びました。そこから父、母に受け継がれ、私は17年前に四代目を襲名。後を継ぐかはすごく悩んだのですが、青磁の美しい青の色を途絶えさせたくないという思いが強く、大学卒業後に陶芸の専門学校に通い始めました」と蘇嶐さん。その学校で出会ったのが、まどかさんだという。

蘇嶐窯の涌波蘇嶐さん

涌波蘇嶐さん/1977年京都生まれ。大学卒業後、京都府立陶工高等技術専門校などで陶磁器の成形や釉薬を学ぶ。2005年、28歳の時に四代目涌波蘇嶐を襲名。

「私は十四代続く小石原焼の窯元に生まれ、後を継ぐ気でいました。この先福岡を離れることもないからと、京都の学校に行ったのですが…」とまどかさんは笑う。

蘇嶐窯の涌波まどかさん

涌波まどかさん/1976年福岡生まれ。実家は十四代続く小石原焼の窯元。大学時代から陶芸を専攻し、京都府立陶工高等技術専門校の陶磁器成形科・研究科修了。

2.息子のために立ち上げた新ブランドで未知への挑戦

学校卒業後すぐに二人は結婚。蘇嶐さんは初代の祖父が表現した美しい青を目指しながら青磁に取り組み、作品は茶道具がメインだった。「それだけで生計を立てるのが厳しく、バイトの掛け持ちもしていました。そんなとき、当時小学校低学年だった息子が五代目を継ぎたいと言ってくれたのです。これはちゃんとバトンを渡す形を整えないとなと、息子の言葉でスイッチが入りました」とまどかさん。

蘇嶐窯_ろくろをひいているシーン

そこから将来を見据え、仕事のやり方を変えていくことを夫婦で決意。二人が京焼・清水焼と小石原焼という異なる窯業地の出身であることを武器に、二つの窯元の技が融合したブランド・蘇嶐窯を立ち上げた。

蘇嶐窯_飛鉋を入れたうつわのシリーズ

青磁の生地に古時計のゼンマイを加工した工具を使って飛鉋を入れたうつわのシリーズ。削られた溝に釉薬が溜まり、青の濃淡で模様が浮かび上がる。縁にベニ(土)を巻いて仕上げた青磁飛鉋プレート(24cm)1万6500円。ワイングラス用に作った青磁飛鉋カップ6600円。和洋食あらゆる料理が合いそうな青磁飛鉋鉢1万1000円。箸置き(5個セット)1万1000円は、箸を置きやすいフォルムと色合いが食卓に取り入れやすい。

「普段使いのイメージのない青磁をどうやって食器として提案するのか、一からの挑戦でした。うちで代々受け継ぐのは、磁土に顔料を混ぜ込む“練り込み青磁”と呼ばれる手法で表現した深みのある青色。そこに小石原焼の技法である飛鉋(とびかんな)を掛け合わせ、新しいうつわを完成させました」と蘇嶐さん。

蘇嶐窯_飛鉋を入れるシーン

ろくろを回しながら鉋の刃先を用いて生地に連続した削り目をつけていく飛鉋は独特の幾何学的な文様で、青磁に表情が生まれた。高貴なイメージのある青磁と民藝のうつわの手法である飛鉋の組み合わせは、全国でもここだけ。
親しみやすい雰囲気のうつわになり青磁の新たな魅力が広がったと、二人は声を揃える。

3.工房でものづくりに触れ多彩な作品に魅せられる

蘇嶐窯が誕生して今年で7年。これまで商品の開発と共に海外販路の開拓やセラミックジュエリー部門の立ち上げ、異業種とのコラボなど、数々の取り組みでうつわの可能性を広げてきた。

蘇嶐窯_涌波蘇嶐さんとまどかさん

「四年前には工房を改装し、工房とギャラリーが共存する空間になりました。ものづくりの背景も伝えたくて、実際に作っているところを見ていただけます」とまどかさん。
二つ並ぶろくろは、片方があぐらをかいて右回転でろくろを回す蘇嶐さんの京都式、もう片方がイスに座って左回転でろくろを回すまどかさんの福岡式なのだそう。手法の違いとともに、二つの窯元から生まれたうつわに込められたストーリーも感じたい。

蘇嶐窯_カップ

左から、白磁の生地で茶色の線紋を境に青磁の釉薬を掛け分けた、掛分カップ6600円。スポイトに入れた泥しょうで動きのある繊細な線をデザインした藍釉いっちんカップ6600円。発掘される前の地中に眠っている遮光器土偶をイメージした縄文カップ8800円。

蘇嶐窯_刷毛目プレート

2022年秋から本格的に発売予定の刷毛目プレート各1万6500円。小石原焼の伝統技法である刷毛 目は、化粧土を刷毛で塗り模様を生み出す。磁器では初めての試みで、飛鉋シリーズに続く京焼・清水焼と小石原焼の融合への挑戦。

4.[蘇嶐窯 ]の店舗情報

青磁を手掛ける京焼・清水焼の窯元の四代目涌波蘇嶐さんと、福岡の小石原焼の窯元出身であるまどかさんの夫婦2人の陶芸家によるブランド。顔料を生地に混ぜ込んだ“練り込み青磁”に小石原焼の飛鉋を施すなど2つの窯元の技法を組み合わせ、機能性と美しさを兼ね備えたうつわを目指す。土偶などをモチーフにした縄文シリーズやセラミックジュエリーなど幅広い作品で魅了。

Hand TOPへ戻る

蘇嶐窯_店内

蘇嶐窯

  • そりゅうがま
  • 京都府京都市東山区清水4丁目170-22
  • 京阪「清水五条駅」から徒歩14分
    バス停「清水道」より徒歩2分
  • Tel.075-561-8004
  • 10:00~17:00
  • 日曜休
  • 駐車場無
  • https://soryu-gama.com/
  • PHOTO/高見尊裕、TEXT/板倉詠子
※予告なく記載されている事項が変更されることがありますので、予めご了承ください。
※本サイトは自動翻訳を導入しているため、翻訳文によって本来の日本語の内容と異なる場合があります。

あわせて読みたい

ニュースニュース

特集記事特集記事

注目のイベント注目のイベント

↑

サイト案内