
[旧京都新聞本社ビル]に日本初進出のホテルブランド...
森見登美彦著『有頂天家族』は京都に暮らす狸の家族を描いた小説。それを原作としたTVアニメ第1期が放送されて2023年で10年。今年は周年イヤーとして京都市各地でもコラボイベントが実施されるなど、盛り上がりを見せています。今回は作中に数多く登場する京都のスポットをアニメの場面写と、実際の写真で紹介。作品の魅力とともに振り返り、主人公の矢三郎がところ狭しと駆け回った京都の街を狸になった気持ちで巡ってみて。
(TEXT/面白きことは良きことなり、 EDIT/田村 実季)
[下鴨神社]に暮らす狸の家族と彼らを取り巻く人間と天狗の三つ巴を描いた、ファンタジックなアットホームドラマ。普遍的な家族愛が描かれており、時を経ても色あせない名作だ。実在する地域を舞台にした名作を数多くの世に送り出しているアニメーションスタジオ[P.A.WORKS]が小説の1行1行を愛と情熱を持って映像化。監督を務めた吉原正行氏は現在放送中のアニメ『天穂のサクナヒメ』でも心温まる物語を紡ぎ出している。
矢三郎たち狸の一族・下鴨家は[下鴨神社]の境内にある糺の森で暮らしている。有名観光スポットであるが、静かな森は周辺地域に暮らす人々の憩いの場でもある。森見先生が学生時代にこの地域で、実際に狸を見かけた経験が物語が生まれたきっかけになっているという。作中の境内は、現在よりも豊かな自然が残っていた頃の姿で描かれている。
[下鴨神社]は、正式名称を[賀茂御祖(かもみおや)神社]という。国内最古の神社のひとつであり、1994(平成6)年世界遺産に登録されている。年間を通じて『流鏑馬』や『御蔭祭』など伝統的な年中行事が行われており、なかでも夏に行われる『下鴨納涼古本まつり』、『御手洗祭』は大勢の人で賑わう。
[下鴨神社(賀茂御祖神社)]
「六道さん」の呼び名で地域の人々に親しまれる[六道珍皇寺]には、次男の矢二郎が引きこもっている井戸がある。長い間、蛙に化けていたため狸にもどれなくなった矢二郎は、家族の中で一人だけ森ではなく井戸で暮らしている。この井戸は、矢三郎の初恋の女性・弁天が、夜になると井戸の前で大粒の涙を流すというロマンチックなシーンにも登場した。
[六道珍皇寺]山門の門前には「六道の辻」の石碑がある
「六道」とは仏教の教義にまつわる言葉。中世以降「冥途への通路」として広く知られるようになった。井戸は平安初期の官僚・小野篁が冥土に通うために使ったという伝説が残っている。本堂の後方の緑が茂った静かな場所にひっそりとあり、思わず井戸に向かって悩みを打ち明けたくなるような雰囲気を漂わせている。
一般の拝観客は庭に立ち入ることができないため、窓から井戸をのぞき込んで
本堂の格子窓から「冥途通いの井戸」を覗くことができる
市内のメインとなる繁華街で作中のさまざまなシーンに度々登場する。特に印象深いのは「金曜倶楽部」を抜け出した矢三郎、弁天、淀川教授が、満月の夜に商店街のアーケードの上の作業用通路を歩くシーン。普段はあまり気にしないアーケードの屋根の上を見上げて、作品の情景に思いを馳せてみるのも面白い。
[寺町京極商店街]
こちらの商店街があるのは、安土桃山時代に豊臣秀吉によって造営された通りで、残っている老舗の多くは、当時から代々続いてきた由緒正しき名店揃い。安土桃山時代から続く営みの歴史を感じさせる。その中にもファッションや雑貨、カフェなど新しい店が建ち並び、年中若者や観光客の往来で賑わっている。
弁天の怒りを買った矢三郎は、その代償として[三嶋亭]で行われる宴会で余興をすることに。七人の食通からなる「金曜倶楽部」のメンバーの前で、見事な七変化を披露して拍手喝采を受けた。人間たちに正体がばれると鍋の具にされるところだったが、狸であることはうまくごまかせたようだ。
明治初期に建てられた京町家造りの店構えは風情が漂う
「金曜倶楽部」のメンバーもうならせる老舗の味。その中でも特に味わいたいのが、現在の店主・五代目、三嶌太郎氏の考案による日本料理とすき焼きを融合させた[三嶋亭]屈指のコース。独自の調理方法と代々受け継がれてきた秘伝の割り下で、上質な熟成黒毛和牛を堪能できる。食事の最後に抹茶が提供されるのは、すき焼きの濃厚な甘さを抹茶の苦味で緩和してすっきりしてもらいたいというもてなしの心によるもの。
月替わりの花コース2万4200円の一例。すき焼き、オイル焼き、しゃぶ しゃぶのいずれかを選択。2日前までに要予約
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