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(左)中村壱太郎、(右)中村鴈治郎
近松門左衛門の名作を映像で甦らせた新作シネマ歌舞伎『曽根崎心中』が、2026年4月10日(金)より全国公開される。公開に先駆け、3月に[MOVIX京都]で完成披露上映会が開催され、歌舞伎ファンに加え映画『国宝』ファンも多数来場した。「死ぬる覚悟がー」の名場面が収録されていることから、『国宝』をきっかけに歌舞伎へ関心を持った層にも響く作品として注目を集めている。
上映会には、徳兵衛役を務め編集協力も担った中村鴈治郎(がんじろう)と、[南座]の三月公演『花形歌舞伎 特別公演 曽根崎心中物語』でお初・徳兵衛の二役を演じた中村壱太郎(かずたろう)が親子で登壇。映画『国宝』でも歌舞伎指導や所作指導として作品を支えた二人の登場に、会場の熱気は一層高まった。
本作は2009年の歌舞伎座公演をもとにした映像作品で、女方の名優として知られる人間国宝・四代目 坂田藤十郎の勤めるお初がスクリーンに刻まれている。「映画館での舞台挨拶は初めて」という鴈治郎は、「シネマ歌舞伎になることを一番喜んでいるのは父(坂田藤十郎)ではないか」と、その姿を多くの観客に届けられる喜びを語った。さらに、坂田藤十郎の七回忌を迎える年、若々しいお初が映像の中で生き続けていることに感慨深げな様子を見せた。
『曽根崎心中』は成駒屋の親子四代にわたり受け継がれてきた特別な演目。壱太郎は19歳で祖父から直接稽古を受けた思い出を振り返り、「1400回演じても毎日初めての気持ちになると言っていた。多分初めて手取り足取りたくさん習った役というのがこのお初」で、キセルの扱いから所作の細部まで教えてもらったというとても思い出深い役だと語った。
興味深いのは、映画『国宝』の役作りにおいて、主演俳優たちの手本として本作『曽根崎心中』の映像が用いられていた点だ。鴈治郎は「彼らの手本になったものを、そのまま映画で観てもらえる」と微笑む。その言葉どおり、本作は資料としての価値も高く、貴重な映像が今に残されていることの意義をあらためて感じさせる。
編集には6台のカメラで撮影された素材が用いられ、鴈治郎曰く「父が最も美しく可憐に映るカット」を選び抜いて再構成したという。2009年の舞台上演時には映画化を想定していなかったものの、最新技術によって音楽などのバランスが緻密に調整され、単なる記録映像を超えた完成度に仕上がり、舞台では捉えきれない繊細な表情や手の動きも克明に映し出される作品となった。
映画『国宝』で話題を集めた「死ぬる覚悟がー」の場面に至るまでのストーリーが、シネマ歌舞伎では描かれる。鴈治郎、壱太郎ともに「すぐに映画のあのシーンにはならないですよ」と笑うと、会場も笑いに包まれた。お初と徳兵衛の関係性や、社会から追い詰められていく過程が丁寧に描かれるからこそ、その言葉が観る者の胸に突き刺さる。
壱太郎は、「映像では観客一人ひとりが作品に没入でき、舞台とは異なる体験が味わえる」とシネマ歌舞伎として蘇った作品に自信をのぞかせる。また、映画ならではの余韻も見逃せない。舞台では幕が下りれば終わるが、スクリーンではエンドロールが静かな余情を残す。本作にはその後に小さな“おまけ”も用意されているというから、最後まで見届けたい。
挨拶の締めくくりで鴈治郎は、「父の姿を目に焼き付け、『こんなにいい物語だったのか』と伝えてほしい」と期待を寄せ、壱太郎は「ヒットすれば再び『曽根崎心中』を舞台にかけられる日が来る。ぜひ『国宝』以上のヒットを!」と呼びかけ、会場は温かな拍手に包まれた。
時代を越えて語り継がれる愛の悲劇、そして脈々と受け継がれる芸。舞台の臨場感と映画の没入感が融合した、シネマ歌舞伎『曽根崎心中』を映画館の大きなスクリーンで堪能してみて。
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