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(左から)実行委員会副委員長・北山耕三さん、マガジンハウス・戸田史さん、作家・万城目学さん、JTBパブリッシング・櫻井昌子さん
過去1年間に発刊された京都を舞台にした小説の中から、地元の人々が「いちばん読んでほしい一冊」を選ぶ「京都本大賞」。第13回となる今回は、書店員による選考で3作品がノミネートされ、2025年9月9日(火)〜10月5日(日)までの一般投票を経て、ついに大賞が決定。2025年11月8日(土)に開催された『KYOTO BOOK PARK 2025』で授賞式が行われた。
ノミネート作品は『うえから京都』(篠友子/角川春樹事務所)、『六月のぶりぶりぎっちょう』(万城目学/文藝春秋)、『階段ランナー』(吉野万理子/徳間書店)の3作品。この中から見事大賞に輝いたのは、万城目学さんの『六月のぶりぶりぎっちょう』だった。織田信長の密室死に挑む奇想天外なミステリーで、京都発マキメ・ワールド最高潮の一冊だ。
前作『八月の御所グラウンド』で直木賞を受賞して以来の新作とあって注目を集めていた本作。授賞式に登壇した万城目さんは、「もともと京都を舞台にした『鴨川ホルモー』でデビューしましたが、実は17年ほど京都を舞台にした作品は書いていませんでした。だからこそ、京都の方に評価していただけて本当にうれしいです」と喜びを語った。
さらに、京都を題材にした小説の変化についても言及。「30年前の僕の大学時代は、京都を舞台にした作品といえば観光名所で起こる殺人事件が多かった。今、松本清張の作品を読んでいますが、具体的な地名を避けて“S”のような、アルファベットで土地の名前を表現することが多かったんです。でも今は、左京区や河原町通りといった地名をフィクションに入れることで、リアリティや没入感が増すようになりました。そんな中で、この激しい競争を勝ち抜けたことを誇りに思います」と語った。
制作の裏話についても「突貫工事で書き上げた」と笑いを交えて明かす。「『八月の御所グラウンド』が直木賞を受賞した時、『六月のぶりぶりぎっちょう』はすでに書き上げていたんですが、まだ本にはなっていませんでした。担当編集者に“今出さなくていつ出すの”と言われ、原稿が足りない状態から必死に書き上げたんです。“平安時代は女官がそれぞれ住んでいたセパレートを局(つぼね)と呼んでいた”という言葉や、取材で聞いた女子寮のエピソードなどをヒントに構成し、なんとか6月刊行に間に合わせました」と振り返った。
地元の読者による支持で選ばれた『六月のぶりぶりぎっちょう』はもちろん、ノミネートされた2作品も、それぞれが京都の魅力を異なる角度から描く傑作ぞろい。京都を舞台にした物語を通して、改めてこの街の奥深さを感じてほしい。
また、同時に発表された「京都ガイド本大賞」には『&Premium特別編集 ひとりでも、京都へ。』(マガジンハウス)、「リピーター賞」には『御朱印さんぽ 京都の寺社』(JTBパブリッシング)が選ばれた。どちらも京都を“観光地”としてではなく、“自分の感性でじっくり味わう場所”として再発見できる内容が魅力。丁寧な取材と上質な写真が詰まったこの2冊も、ぜひ書店で手に取ってみて。
授賞式当日には思わぬレアショットも!『KYOTO BOOK PARK 2025』でトークイベントを行っていた作家・森見登美彦さんが、お祝いに駆けつけ、万城目さんと仲良く談笑する姿が見られた。なかなか見られない京都本大賞受賞作家同士のツーショットに、会場のファンも喜びながら、温かな拍手を贈った。
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