干菓子と生菓子の大きな違い

和菓子の分け方はさまざまありますが、一般的なのは干菓子・半生菓子・生菓子という水分量を基準とした3種類の分け方。干菓子とは水分量が10%未満で、広くいえば乾いたお菓子全般を指します。例えば、かりんとうや飴なども含まれます。そして10~30%のものを半生菓子、30%以上のものを生菓子と分けています。
みゆき先生 VOICE
水分が少なければ少ないほど、日持ちがしやすく、保存しやすいという特長があります
[笹屋伊織]十代目女将の田丸みゆきさんに、今改めて知りたい京菓子の基本について教えていただきます。2回目となる今回のテーマは『干菓子』です。干菓子・半生菓子・生菓子の違いをみなさんはご存知ですか?京都に住んでいてもなかなか深く知る機会がない京菓子について学んでいきましょう。
教えてくれたのは...京菓匠[笹屋伊織]十代目女将 田丸みゆきさん
大手証券会社のカウンターレディ、中学校の講師を経て、1716年創業の[笹屋伊織]十代目に嫁ぐ。女将の実務のみならず講演やコラム執筆、京都おもてなし大使など多方面で活躍中。大丸京都店地下1F[京都イオリカフェ]で開催される「女将のおもてなし講座」も大好評。2016年秋、初の著書となる『愛される所作』を出版。
和菓子の分け方はさまざまありますが、一般的なのは干菓子・半生菓子・生菓子という水分量を基準とした3種類の分け方。干菓子とは水分量が10%未満で、広くいえば乾いたお菓子全般を指します。例えば、かりんとうや飴なども含まれます。そして10~30%のものを半生菓子、30%以上のものを生菓子と分けています。
みゆき先生 VOICE
水分が少なければ少ないほど、日持ちがしやすく、保存しやすいという特長があります
水分量10%未満という条件は同じでも、干菓子には材料や製法によって多彩な種類があります。高級なのは四国の和三盆糖を使ったもの。粒子が細かくやさしい甘みがスーッと溶けていきます。そのほか、見た目は和三盆と似ていますが砂糖・寒梅粉・水飴を使っていて舌触りが少しザラッとする落雁、もち米を使って焼き上げる煎餅も干菓子寒天を使った琥珀は、透き通った見た目が涼しげなので夏にいただくことが多いですね。
みゆき先生 VOICE
重量が軽い麩焼き煎餅は、病や哀しみが軽くすむよう、お見舞いや仏事用に使用されます
干菓子といえばやはり日本茶。せっかくなら美味しいお茶を用意しなくちゃ、と思われがちですが、私が家で好んでいるのはコーヒーとのマッチング。チョコレートを一粒添えるように、コーヒーにちょこんと和三盆や落雁を添えるのがお気に入りです。ちょっと疲れたなという時に合わせる、甘みのないブラックコーヒーと干菓子は絶妙な美味しさだと思います。また、風雅な菓名や造形から季節を想像させる生菓子と異なり、鶴や亀、季節の植物、富士山、米俵など、わかりやすい形である干菓子のシンプルさも魅力のひとつ。お客様がこられた時にも、さりげなく季節感やメッセージを伝えられると思います。今まで干菓子にまったく馴染みがなく、なにから手を伸ばせばよいかわからないという方は、まろやかで風味豊かな和三盆からお試しになってみてください。
訪問時にふるまっていただいたお菓子はその場に残さず、持ち帰るのが礼儀。懐紙を使って美しく包めば、見た目もスマートですよ。
① 懐紙を縦長にして、真ん中より上に干菓子を置く
② 端を1cmほどずらして、三角に折る
③ 直角の部分を下に向け、さらに上に折る
④ ひっくり返して両端を内側に折り、重なった部分を入れ込めば完成!
みゆき先生 VOICE
ちょっとした小銭をお返し&お渡しする時などにも、こぼれないので便利ですよ