卵や牛乳、バター、小麦粉などは洋菓子作りに不可欠といえるもの。中谷さんには一からレシピを構築しての挑戦だった。「動物性を使わないとどうしても味が単調になってしまい、奥行きを出すことが難しい。何度試作して味見したかわからないですね」と笑う。小麦粉の代わりに米粉や大豆粉、アーモンドプードルなど数種類の粉を組み合わせ、ケーキによって配合を変えて理想の生地に。バターの代わりにココナッツオイルでコクを出し、スパイスや抹茶、黒糖、あんこなどで風味を加えた。さまざまな工夫により、以前のケーキにも負けない納得の味に仕上げたという。

店で販売するケーキは、一見プラントベースとは思えない。美しさでも満たすケーキを求め、月数回の営業日には待ちわびた常連客や評判を聞きつけた人が続々と訪れる。「アレルギーがある方など、幅広い人に食べていただけるようになったのが嬉しいですね」。SNSで営業日をチェックして、売り切れる前の早めの時間帯に訪れたい。