歴史映画に特化した日本唯一の映画祭『京都ヒストリカ国際映画祭』が今年も開催される。17回目を迎える今回は、「太秦100年」「アンチ・カタルシス」という二本柱を掲げ、多彩な上映作品やゲストによるトークを通して“歴史映画のこれから”を見つめるプログラムを展開。

プログラム・ディレクターの高橋さんは、「わかりやすい映画より、デコボコがあるほうが観る者の記憶に残りやすい」と考え、カタルシスという概念を基準に選んだ作品群を集めた。過去を舞台にした作品が中心でありながら、そこに描かれる感情は驚くほど生々しく、現代の私たちの感情に響く“トゲのある映画”が揃う。

日本初上映の作品に加え、次の100年を見据えたさまざまな特別企画を用意。特に注目すべきは、不世出の映画俳優として大正から昭和にかけて活躍した阪東妻三郎が、京都に撮影所を構えてから100年の節目に企画された「ヒストリカ・スペシャル」。阪東妻三郎主演の無声映画『雄呂血（おろち）』を、活弁と三味線演奏などを交えてプレミアム上映する。上映後には、阪東の孫にあたる俳優・田村幸士さんと、『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督によるトークセッションも予定されている。

「ヒストリカ・ワールド」では、スペイン映画『海を約束してくれた先生』、ポーランドの戯曲を題材にした『マゼラン』、日本初上映の『UBU』、そしてイタリアの荒野を舞台にカウボーイの逃避行を描く『裏か表か？』という、最新の歴史映画4本。「ヒストリカ・フォーカス」では「アンチ・カタルシス」をテーマに、今井正監督の『仇討』や『夜の鼓』、大島渚監督の『御法度』、篠田正浩監督の『はなれ瞽女おりん』など、6作品を厳選。片山慎三監督や横浜聡子監督らの来場も予定されており、作品理解を深める充実したトークも魅力となっている。

さらに、太秦で撮影されたSF作品『宇宙からのメッセージ』（1978年 深作欣二監督）を取り上げ、『のぼうの城』『シン・ゴジラ』で知られる樋口真嗣監督によるアフタートークも企画されている。

関連イベントとして、車座で語り合う「ヒストリカお座敷」（入場無料・申込不要）、オンライン配信企画「夜のヒストリカ」、さらに「AIクリエイティブ最前線」をテーマとする無料ディスカッションイベント「HISTORICA X（クロス）」など、映画文化を横断的に楽しめる催しも多数！公式サイトをチェックして、この機会にたくさんの映画作品に触れてみて。