有名店の元料理長が腕を振るう和会席[吉招庵]

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美しい京割烹が気軽に楽しめる[祇園 たに本]の店主・谷本さんからのご紹介で訪れたのは…

前回の様子はこちら!

コストパフォーマンス抜群!見た目も美しい京割烹[祇園 たに本]

コストパフォーマンス抜群!見た目も美しい京割烹[祇園 たに本]

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教えてくれたのはこの方!
谷本 佳美さん

[祇園 たに本]

住所/京都市東山区祇園町南側570-121 MAP
TEL/075-551-8011
営業時間/昼 11:00〜14:00(前日までに要予約)、夜 17:30〜22:00(予約がベター)
定休日/日曜休

名料理人がもてなす和会席[吉招庵]さんです。


Q.) 今回、[吉招庵]さんをご紹介してくださった理由を教えてください!
弟子のお店を紹介したくて。腕のある料理人なので色々な方に知ってほしいです。

Q.) どんな時に[吉招庵]さんを利用されますか?
自身の店のお客さんを連れて利用することが多いです。

Q.) おすすめメニューを教えてください!
季節の食材を盛り合わせた「八寸」。彩りも美しいです。

Q.) そのメニューがお好きな理由は何ですか?
“色々な味を楽しんでほしい”という思いが伝わる一品。丁寧な盛り付けも素晴らしいです。


「[吉招庵]の大将が18歳の頃からの付き合いで…」とお弟子さんのお店をご紹介してくれた谷本さん。前回の[祇園 たに本]さんのような美しい和食をまたお目にかかれるかもしれないと期待が膨らみます。

向かった先は、京都の酒処としても有名な伏見。十石舟や月桂冠大倉記念館など観光地としても賑わいを見せるこの界隈に[吉招庵]さんはあるそう。

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十石舟乗り場

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月桂冠大倉記念館。 風情ある街並みが素敵

月桂冠大倉記念館から歩くこと数十秒、[吉招庵]さんに到着しました!

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立派な佇まい

忙しいランチタイムが終わり、ひと息つく時間ですが扉を開けると[吉招庵]のみなさんが快く出迎えてくれました。こちらが大将の中村さん。

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中村 輝夫さん

[吉招庵]

住所/京都市伏見区本材木町680-1 MAP
TEL/075-622-9955
営業時間/昼 11:30〜14:30(LO/14:00)、夜 17:30〜21:00(LO/20:00)※どちらも予約がベター
定休日/月曜休

なんと、超名店で料理長を務めていた…というお話を伺いWebLeafスタッフは仰天。「店名は伏せといて」と言われたのですが、皆様にお伝えしたいほど有名なお店なので、ヒントだけお教えします。「た」から始まるお店です。

和食界において全国で知らない人はいないであろう方のお料理が食べられるなんて、なんと贅沢な取材なんでしょう。

店内の窓からは十石舟が通る様子や、春は桜、梅雨時はアジサイが望めるなど、四季の移ろいを感じられ、素敵な空間が広がります。

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カウンター席、テーブル席、個室が揃うので様々なシーンに使えます

お昼のメニューは、お寿司と小鉢付きの煮麺セットや天ざる寿司セット、人気の松花堂弁当など平均予算は大体2000円ほどでしょうか。谷本さんが「うなぎも上手に焼くよ」とおっしゃていたうな重2500円(税別)もランチで楽しめるようです。かつて数々の大御所をもてなしてきた大将の料理をこれだけの安価でいただけるなんて、びっくり。

夜のお料理は一品メニューもありますが、おすすめは季節で変わる会席料理。3000円、4000円、6000円、8000円(税別)のコースがあり、全コースの締めはご飯ではなく独自の配合で作る蕎麦が味わえるのが特徴です。

以前より月桂冠さんとの繋がりがあり、その所有地であるこの場所を借りて店をオープンすることになった大将の中村さん。お客さんは年配の方が多いため、奥深さのあるやさしい味わいを意識した料理を提供されています。

[吉招庵]をオープンしてから5年。常連さんも増え、地元のお客さんからは「四条まで行かなくてもよくなった!」と、嬉しい言葉をかけてくれることもあるそうです。大将の腕ある料理は人を惹きつける魅力がありますが、奥様のサポートもまたお客様の心を掴んでいるひとつだと感じます。お客さんの気持ちの一歩先を読み、おもてなしの気配りが優れいている奥様と、2人の気遣いが常連さんを誕生させたのでは…と感じました。

「お客様をおもてなしする心は茶道を通じて勉強してきた」と、大将もまた谷本さんと同じく“間合い”を大切にされているようです。

それではまずは、[祇園 たに本]の店主・谷本さんが「美しい」と太鼓判をだった八寸をいただきます。

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涼を感じるほどに瑞々しいですね。

季節の食材を取り入れた八寸。この日は半熟玉子、もずく酢、鱒(ます)の味噌漬け、蓮根、枝豆、生麩田楽、蛸足のやわらか煮、鰊(にしん)、海老煮、とうもろこしの天ぷら、山芋としその生ハム巻きの11種類が登場。見て楽しむ料理とはこのことですね。ついうっとりしてしまい、しばらく言葉が出ませんでした。やさしく繊細な味わいはさすが職人さん。ゆっくりとひとつずつ噛み締めながら大事に大事に味わいたいです。甘口で口当たりまろやかな伏見のお酒が合いますね。

そもそも、八寸とは茶懐石の椀物、焼物、煮物などの料理がひと段落した後にお酒の肴として、八寸四方の杉盆に海の幸と山の幸を盛りつけたもののことを言うそうです。

続いて、大将が出してくれたのがお寿司
お寿司はハモの箱寿司、大葉の香りがさっぱりとした鯵(あじ)と白板昆布のお寿司、そして巻き寿司。

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お寿司は予約するとテイクアウトもできます。
巻き寿司1本700円(税別)、はも箱寿司10切1500円(税別)、その他盛り合わせなど。

昔ながらの京都の巻き寿司とは、かんぴょう、椎茸、厚焼き玉子、三つ葉が入ったもののことを言うそう。キュウリが入った巻き寿司をよく目にしますが、本来は三つ葉を入れるのが正解。いただいてみると三つ葉の風味が上品で他の食材の邪魔をしないことから、とても重要な役割を果たしていると感じました。

そしてお次は6月から10月にかけて旬のハモのお造り。ハモといえば小骨が多く、骨切りが非常に難しいと聞いたことがありますが、さすがは大将。薄皮一枚だけを残す見事な包丁さばきを披露してくれました。そしてまずは沸騰した湯に皮だけをつけ、その後、湯の温度を下げて全体を湯に通し、氷水に入れ水気をとります。

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「厨房に入っておいで〜」と、調理風景を間近で見せていただきました。

この一連の所作をこんなに間近に見られるなんて、感無量です。氷の上に盛り付けられたハモはなんとも美しく、まるで白い花がまぁるくふわっと咲いたよう

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コースによりますが、会席でも楽しめます。
では、梅肉と山葵をつけていただきます!

「こんなにふわふわなハモを食べたことがない!」。驚くことに骨の感触が全くないんです。この技はほんのひと握りの職人さんしか出来ないほど高い技術が必要なんだとか。始めから終わりまでなんとも贅沢三昧な取材となりました。

こんなに美味しいお店が伏見にあったなんて!と、5年間知らずにいたことを悔やみます。舌の肥えた方にもおすすめできる一軒。名料理人の味に心打たれてみてください。さて、凄腕の持ち主・大将の中村さんが次にご紹介してくれるのは…大将の癒しの場になっているというあのお店へ…

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