琉球国王も食べたイラブーやミネラルたっぷりの海ぶどう、久高島フードを堪能/旅好き編集部おすすめ、1泊2日沖縄離島旅の体験レポ 後編

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旅好きな私が京都を飛び出して、今回特別にお邪魔させていただいた沖縄県久高島。1泊2日の前編では、”神聖な島”だという久高島の歴史や自然を歩いて感じました。2日目の後編は、朝日の絶景からはじまり、久高島独特のソウルフードを食べ尽くします。ミネラルたっぷりの久高島の海水で育った海ぶどうやイラブー、食を通して、久高島の奥深さにふれます。

INDEX
・毎日来ても珍しい絶景。朝日と一緒に2日目がスタート
・居酒屋の味とはまるで別物!久高島の海ぶどうはミネラル豊富
・琉球国王も食べたイラブーを初体験
・久高島の海水でマイ塩を作ってみた
・名残惜さを感じながら出発

旅好き編集部おすすめ、1泊2日沖縄離島旅の体験レポ 前編

沖縄誕生の地・久高島で、神々と共に生きる人々と出会う

沖縄誕生の地・久高島で、神々と共に生きる人々と出会う

毎日来ても珍しい絶景。朝日と一緒に2日目がスタート

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空には青、黄色、赤...朝日の美しいグラデーションがかかっていました

2日目が始まったのは、まだ辺りも暗い朝6時。宿泊していた久高島宿泊交流館から、歩いて10分ほどの浜へ朝日を見に行くことからスタートしました。正直私は「朝日を見よう」という目的を持って朝を迎えたことはない気がします。まだ眠い目をこすりながら、浜に向かうと、まず目の前に飛び込んできたのは、燃えるように真っ赤な帯でした。群青色のような深い色の空と海との境目に真っ直ぐに引かれたその帯は、夕日の赤とはまた違った色だということに驚きました。

少しすると、その真っ赤な帯も消え、空全体が明るくなっていきました。あれ、太陽ってもう出た? まじまじと朝日を見たことがない私が少し戸惑っていると、海からキラキラ輝く太陽が顔を出しました。そして、水面には太陽の光が輝き、まるで空へ続く道ができたみたいです。少しずつ表情を変える空の色は、なんてきれいなんだろう...。だけど、そう思ったのは私だけではなかったようで、毎日のように朝日を見に来ているという島の方も「こんなにきれいな朝日は毎日見てても珍しい」と話してくれました。朝日も夕日もしっかりと見ることができたのは、小さな島旅の醍醐味のひとつかもしれません。

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1分、1秒で変化する朝日

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水面に反射した太陽の光がなんともきれい

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海辺の草木も朝日に照らされて目覚めたよう

 

居酒屋の味とはまるで別物!久高島の海ぶどうはミネラル豊富

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海ぶどうってこうやって育つんだ。初めて見る養殖の様子に興味津々

朝ごはんを食べ終えたら、次は久高島のちょうど真ん中辺りにある養殖場へ向かいました。ここで育てられていたのは沖縄料理の居酒屋に行ったら、絶対に注文してしまうぷちぷち食感の”海ぶどう”です。

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この養殖場をひとりで担う東健人さん

今では沖縄食材=海ぶどうと言っても過言ではないですが、実態を詳しく知るのは私も初めてです。「実はとても繊細な海藻で、日光や気温、湿度など気をつけないといい海ぶどうには成長しないんです」とのこと。海ぶどうにも久米島だったり、本島北部だったり、様々な産地があり、寒さに強いのはこれ、暑い時季はこの産地がいいと特徴があるのだそうです。東さんは気候や湿度を読み分けて、今一番成長する海ぶどうの品種を選んで養殖するのだといいます。赤ちゃんの状態である小さな海ぶどうをネットに絡ませて成長させること約40日。丁寧に育てられた海ぶどうは、ネットぎっしりに成長します。まだこちらの養殖場をはじめて間もないという東さんですが、勉強熱心な姿勢は海ぶどうの質の良さからもしっかりと伝わってきます。

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ネットにぎっしりと成長した出荷目前の海ぶどう

「よかったら採って、食べてみてください」。嬉しいお言葉をいただき、海ぶどう狩り体験をさせていただくことにしました。水槽の中に腕をぐっと差し込み、太い茎をすくい上げます。その茎に枝分かれするように成長した海ぶどうがこれでもかと姿を現しました。潰さないように気をつけながら、その細い茎から海ぶどうの部分だけを摘み取っていきます。黙々と作業しても、1時間で採れる量は大きなザル1杯分ほど。それを東さんはひとりで作業しているのだそうです。海ぶどうって、本当は私たちの口に入るまで、大変な労力と時間がかかっていたんですね。

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海ぶどうが連なっている様子を見たのは初めて

実際に食べてみると、いつも食べている海ぶどうよりもしっかりと海の味を感じる気がします。東さんの海ぶどうは、久高島の海水をたっぷり使用して育てているそうですが、久高島周辺の海水はミネラル豊富だといわれています。それが旨みのひとつに繋がっていることは間違いない!と感じました。

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ぎっしりと身が詰まった東さんの海ぶどう

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こんなに海ぶどうを噛み締めて食べたことはない! 口の中に磯の香りがふわ〜っと広がります

卸売り専門のため残念ながら養殖場では購入できませんが、今後この味を直接購入できる日を楽しみにしています。養殖場の見学は久高島宿泊交流館に相談すれば可能なので、気になった方はぜひ電話で事前に問い合わせてみてくださいね。(久高島宿泊交流館 Tel. 098-835-8919)

琉球国王も食べたイラブーを初体験

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久高島の伝統食、イラブー汁

そうこうしている間にお昼の時間になりました。「久高島といえば、やっぱりアレを食べないと〜」と連れてきてもらったのは、船待合所の裏手にある[食事処とくじん]。久高島の新鮮な魚や太陽をいっぱい浴びて育った島野菜をふんだんにつかった料理が楽しめると人気で、なかでも久高島ならではのイラブー汁(ウミヘビ)を食べられることが特徴です。

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食事処とくじん

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ランチタイムは多くの観光客で賑わいます

前編でも紹介したように、久高島ではイラブーは神の使いとして神聖な生き物とされています。琉球王国時代には、国王に献上され、宮廷薬膳料理の食材として使用されていたとも伝わります。イラブーの漁や燻製の作業は、琉球王国時代は最高権力者であった祝女(ノロ)など3名だけが許されたものだったそうです。時代とともに変化を遂げ、今では島の男性を中心に、旧暦の6月から大晦日まで、日没から深夜に岩場に腰掛けて行います。海の中に片足を突っ込み、イラブーが足に当たったのを感じ取った瞬間に、首を掴んで捕獲。毒はないのか心配なところですが、口の奥に牙があるのでそうそう噛まれることはないといいます。とはいえ、実はイラブーの毒はハブよりも強いそうで、無事に漁ができているのは熟練の技が成せるものだなと思いました。

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イラブー漁が行われている岩場・イラブーガマ

収穫したイラブーはバイカンヤーと呼ばれる燻製小屋で保管され、約100匹集まったら島にあるモンバの葉やアダンの実をつかって燻製にします。ここでわかるのが、イラブーの凄まじい生命力。約100匹が集まるまで1週間ほどかかりますが、その間飲まず食わずでも生き続けています。イラブーは茹でて、鱗を取り、再び茹でた後、7日間燻製されます。漁をはじめる日と燻製から窯出しされる日には、今もなお海からの授かりものに感謝をする儀式が行われているそうです。

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御殿庭にあるイラブーを燻製するバイカンヤー

さあさあ、それではイラブー汁をいただきます!まずは、スープをひと口。一度燻製にしたイラブーは水で再度戻し、ぶつ切りにした後、一日かけてじっくり煮込みます。昆布と一緒に煮込んだスープは、燻されたイラブーの深い味わいがふわっと口の中に広がります。イラブーも少しかじってみたのですが、骨が多くてあまり身はありません。丁寧に処理をして、燻され、調理する伝統的な技法が今も伝わっているので、嫌な苦味や生臭さなどを感じませんでした。

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イラブー汁御膳2,150円(税込)、イラブー汁単品1650円(税込)

そして、もうひとつ久高島独特の料理が、ニガナの和えもの。ニガナとは、海岸の砂地に一年を通して自生している野草です。久高島では、海辺のニガナを採ってきて、自宅の庭に植え替え、日々の食卓や祝い事にふるまってきました。ニガナを細かく刻み(島では「さぐ」というのだそう)、新鮮な刺身と一緒に合わせてさっぱりとした味で仕上げると伝統的な一品が完成します。ニガナはよく研いだ包丁で切らないと、黒ずんでしまうそうで、専用の包丁を持っている方もいるのだそうです。食べてみると、苦味のあるニガナですが、新鮮な刺身と一緒に食べるとさっぱりした味になります。マリネのような爽やかな味が口の中に広がりました。

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ニガナの和えもの[単品]570円(税込)

久高島の海水でマイ塩を作ってみた

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ミネラルたっぷりの久高島の塩

最後に体験したのは塩作り。久高島には、塩作りをしている場所が2ヶ所があります。残念ながら現場に伺うことはできませんでしたが、その塩作りのプチ体験が久高島宿泊交流館でできます。今回は、海水を煮詰める製法で自分だけのマイ塩作りを体験します。

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教えてくれたのは、前日の毛遊びでもお世話になった漁師の西銘幸太さん

海ぶどう養殖場の見学の時にも教えてもらったように、久高島周辺の海水はミネラルが豊富です。そのため、久高島の塩は奥深いと定評なのだそうです。まずは、海水を煮詰め濃縮されたものをフライパン移し、沸騰する寸前まで強火で火入れをします。ブクブクと沸騰し始めたら、中火にし、焦がさないように混ぜ続けます。すると、5分ほどでどんどん水分が飛んで白い塩の塊が現れます。あとは、根気強さとの勝負。塩の原型の塊をしっかり潰しながら水分を飛ばしていくとさらさらの真っ白な塩が完成します。

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焦がさないように、手早くかき混ぜていきます

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塩の原型が現れますが、ここから根気強く水分を飛ばせるかどうかが仕上がりを左右します

ちょっと指先に取って舐めてみます。んん〜〜、しょっぱいけど旨みがあるし、その後に甘みがやってくる! これはミネラルの旨みっていうヤツでしょうか。さっき[食事処とくじん]で食べた野菜や天ぷらを思い出して、そこにちょっと付けたら美味しいだろうな〜と想像が膨らみます。出来上がった塩は、県内のデザイン会社さんとコラボしたおしゃれなポチ袋に入れて持ち帰ることができます。久高島のものは、植物をはじめ、貝殻や石ころさえ持ち帰ることができません。久高島の自然の恵みをお土産として持って帰れるのも嬉しいポイントでした。体験はひとり3000円(税込)。こちらも久高島宿泊交流館に事前に電話して、参加してみてくださいね。

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地割制度やイラブー、海と太陽など、久高島を連想させるデザインのポチ袋

 

名残惜しさを感じながら出発

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船の待合所

楽しい時間は早いもので、16時の高速船出発のタイムリミットまで残すところわずかとなりました。最後に船待合所に立ち寄ってみると、島のお土産やちょっとした甘味の販売があったので、おやつにひんやり冷たいぜんざいを食べました。普段なら「ぜんざい」と言って思い浮かべるのは、温かなものだと思います。知っている方も多いかもしれませんが、沖縄では「ぜんざい」とは冷たいおやつなのです。いわゆるかき氷、ですね。食べ進めると、底には金時豆を甘く煮詰めて冷やしたものがあり、冷たい氷と一緒に混ぜていただきます。こちらでは、紫芋が練り込まれたお団子も入っていて食べごたえも十分。お手製のハーブティーと一緒にいただきました。

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ぜんざい570円(税込)

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島のお母さんがぜんざいを作ってくれる様子

待合所には特産品もずらり。島ならではのイラブーを使ったお菓子や麺などもあるので、旅の思い出に買って帰りたいですね。私もイラブーのことを会社のみんなにも伝えたくて、迷わず購入しました!

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イラブー粉末を練り込んだ生麺 980円(税込)

久高島で過ごしたのは1泊2日の短い時間でしたが、たくさんの島の人々と触れ合え、大自然に包まれて、いつも以上に濃厚な時間を過ごすことができました。信号もコンビニなど、日々の便利なものはなくても、じんわり心温まる時間はたくさんあります。古くから伝わる神々の風習や伝統を守り続ける島の人々の生活は、私が暮らす京都とは違っているけれど、それもまた新しい発見の繰り返し。足でしっかり歩いて、時には自転車に乗って風を感じながら新鮮な体験をたくさんさせていただきました。コンパクトな島だからこそできた旅が、忙しい毎日からリセットさせてくれました。

なかなか旅やおでかけができない毎日が続いている今だからこそ、次はどこへ行こうと計画を立てる時間がたっぷりあります。太陽、夕日、海、そして優しい人々に出会える久高島。次の旅の候補として、沖縄が生まれた場所だと言われるこの島をぜひみなさんの心の中にブックマークしておいていただけると嬉しいです。

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高速船からは、青く澄んだ久高島の海を最後まで目に焼きつけました

 

旅好き編集部おすすめ、1泊2日沖縄離島旅の体験レポ 前編

沖縄誕生の地・久高島で、神々と共に生きる人々と出会う

沖縄誕生の地・久高島で、神々と共に生きる人々と出会う

協力/NPO法人 久高島振興会、一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー

 

旅の注意ポイント:久高島には禁忌や立入禁止の場所があります。島のルールに従って旅を楽しんでください。

 

 

島の暮らしとつながる南城市久高島観光交流サイト

久高のシマ時間

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久高島と安座真港をつなぐ

久高島フェリー 定期航路(定期船)久高海運

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今回宿泊させていただいた場所はここ!

久高島宿泊交流館

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久高島を隅から隅まで楽しみたい方におすすめ

久高島ガイドツアー

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