能を未来につなげる挑戦、伏見稲荷大社で「夕暮能」を見てきた!

みなさん、こんにちは。茶道、華道、歌舞伎など、様々な日本文化に触れ合う機会が増えたLeafスタッフです。その中でもまだ足を踏み入れたことがないのが『能』の世界

9月8日(金)に、能を未来につなげる挑戦として、夕暮れ時に社寺仏閣で気軽に能を観劇できるプロジェクト『夕暮能』がスタートするとのことで、伏見稲荷大社に向かいました。

このプロジェクトの発起人は、能楽五流(観世、金春、宝生、金剛、喜多)のうち、唯一関西が地元である金剛流の若宗家・金剛龍謹さん。「東京では能を教養として観る傾向がありますが、京都では娯楽として観るという違いがあります」と語るように、今回のプロジェクトでは、かつて京の旦那衆が娯楽としてゆるりとみていたように、能本来の気楽な楽しみ方を提案してくれています。

スタートは夕暮れ直前の17時。伏見稲荷大社の外拝殿に向かうと、トリップアドバイザーで外国人が選ぶ人気スポットに選ばれていることもあり、海外からの観光客の方が多いことを実感しました。

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浴衣を着て、京都観光を満喫している外国人観光客も

そして、門をくぐると、地元伏見の日本酒の振る舞いが。

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日本酒と伝統芸能のかけあわせで、
ハレの日を祝うという想いが込められているそう

日本酒をいただきながら、待っていると、外拝殿では金剛流の舞がはじまりました。"舞金剛"といわれるように、華麗で優美な芸風が特徴だと言われることもありその舞のしなやかさに目が離せなくなったLeafスタッフ。これからはじまる演目への期待感が高まります。

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囃子の音に寄せられ、外拝殿の周りには
多くのお客さんが集まりはじめました

その後、今回のメイン舞台になる神楽殿に向かうと、すでに会場は満員御礼状態。たまたまこの日に居合わせた方は本物の「能」がこれほど身近に楽しめるとあって、あちこちから驚きの声が聞こえてきました。

なんとかLeafスタッフもスペースを確保し、夕陽が傾く中、その時を待ちます。

今回披露してくれる演目は、予備知識が無くても楽しめるという『羽衣』と『小鍛冶』。いずれも金剛流ならではの"舞の特徴"を感じられるものなのだそう。開始を待つ会場は凛とした雰囲気に包まれます。

まず始まったのは『羽衣』。簡単にストーリーをご紹介すると、

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・春の朝、三保の松原に住む漁師・白龍は、仲間と釣りに出た先で、松の枝にかかった美しい衣を発見

・家宝にと持ち帰ろうとすると、天女が現れ、その羽衣を返してほしいと懇願

・はじめは聞き入れない白龍だが、「それがないと天に帰れない」と悲しむ天女の姿に心動かされ、天女の舞を見せてもらう代わりに、羽衣を返すことに

・羽衣を着た天女は、月宮の様子を表す舞などを見せ、さらには春の三保の松原を賛美しながら舞い続け、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞にまぎれて消えていく...

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というもの。

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会場は地元の方から観光客まで多くの方で満員

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羽衣を返してほしいと懇願する天女

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羽衣を着て舞う天女

主役・シテの天女は、能面をつけていることもあり、その表情を読み取ることはできませんが、ミステリアスな雰囲気と、軽快な舞にのみ込まれていきます。また、だんだんと日が暮れる中の舞は幻想的で、「夕闇に溶ける"幽玄"という固有の美意識を五感で感じて欲しい」というプロジェクトの意味も伝わり、光と影のコントラストに目を奪われます。

続いての演目は『小鍛冶』。こちらのストーリーは、

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・勅使の橘道成は、夢のお告げを受けた一条天皇の命により、刀匠として名高い三條小鍛冶宗近のもとを訪れ、剣を打つよう命じる

・宗近は「自分と同様の力を持った相鎚を打つ者がいないので作れない」と訴えますが、道成は聞き入れない

・進退窮まった氏神は、助けを求めて稲荷明神に参詣すると、不思議な老人に声をかけられ、剣の威徳を称える中国の故事や大和武尊(やまとたけるのみこと)の物語を語って励まされ、相鎚を勤めようと約束して稲荷山に消えていく...

・家に帰って身支度をすませ鍛冶壇に上がり礼拝している宗近の目の前に、稲荷明神の御神体が狐の姿で現れ「相鎚を勤める」と告げる

・なんと、先ほどの老人は稲荷明神の化身だった

・明神の相鎚を得た宗近は、無事に、表には「小鍛冶宗近」、裏には御神体が相鎚を勤めた証の「小狐」の、ふたつの銘が刻まれた名剣『小狐丸』を完成させる

・明神は勅使に小狐丸を捧げたのち、雲に乗って稲荷の峯に帰っていく...

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というお話。

今回はこちらの中から後半部分にあたる、宗近が鍛冶壇に上がる場面から上演されました。

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鍛冶壇に上がり礼拝している宗近

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すると、稲荷明神の御神体が狐の姿で現れる

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「相鎚を勤める」との約束の通り、
ふたりで剣を鍛え上げる

先ほどのすーっとすり足で優雅に舞う天女の姿とは打って変わって、今回の演目では、狐の姿になり高く飛び跳ねる姿が印象的なシテ方。同じ能でも、演目ひとつで、会場の空気感は変わり、迫力ある演技に目が離せなくなります。

そして、この演目が終わった頃には辺りは日も落ち、舞台だけがはっきりと際立って見えるようになっていました。

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終演後には、暗がりの中、
能の舞台が照らし出されていました

主役の「シテ方」と、「ワキ方」「囃子方」などの簡単な知識しかない能鑑賞ビギナーのLeafスタッフでしたが、細かな解説が無くとも理解ができた今回の『夕暮能』。視界が闇にまぎれる時間の移ろいを楽しみ、見えないものを"観る"という新しい体験をしてほしい、という想いの通り、今までに経験したことのない「能の世界」に一歩足を踏み入れることができました。そして、より一層「能」をはじめとした伝統芸能に興味を抱いたLeafスタッフなのでした。

今後も定期的に「夕暮能」を実施できれば、とのことなので、詳細は公式サイトをチェックしてみてくださいね。

■「夕暮能」公式サイト>>

 

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